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広報誌Web版『各種障害者手帳について』

みなさんこんにちは。毎日寒い日が続いていますが、体調崩されていませんか?

最近また新型コロナウイルスが増えてきています。気を緩めずに徹底して感染予防対策を行いましょう。

過日、ソーシャルワーカー(社会福祉士)による『各種障害者手帳について』の健康教室が開かれたので紹介していきます。

はじめに
ソーシャルワーカーについて

ソーシャルワーカーとは、わかりやすく例えるならトイレットペーパーと似ています。(い)なくてはならない存在です。

 

 

各種障害者手帳について

  • 身体障害者手帳 身体
    身体に障害がある人に対して交付される手帳
  • 療育手帳 知的
    知的に障害がある人に対して交付される手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳 精神(発達)
    精神に障害のある人に対して交付される手帳

 

いずれの手帳も、生活に支障が出ている状態であり、手帳を申請する病気があり、一定期間を経過していることと、一定以上の障害の状態が継続していて今後も続いていく状態、という条件のもと申請となります。

 

手帳のメリット・デメリット

デメリット(悪いこと・不利益になる可能性があること)

  • 「障害者」と認定されることにより、レッテル貼られ、差別されるのではないかという不安
  • 「障害者」と認定されることによる自尊心の低下
  • 雇用側に「障害者」であることをオープンにしたことで、どのような配慮があるのか、就職してから偏見やいじめがないかなどの不安
  • 診断書料金、顔写真の準備~希望の等級に該当しない

などなど

メリット(いいこと・利益があること)

「障害者等級により違う」という前提で

  • 色んな福祉サービスを受けられる
  • 税金の控除がある
  • 交通機関や公共施設の割引がある
  • 医療費助成や手当がある
  • 障害年金の申請が検討できる
  • 「障害者」と認定を受けたから配慮される
  • 仕事に就きたい時に、障害者雇用の枠での就職ができる

 などなど

共生社会について

共生社会とは、障害者や高齢者など、これまで社会参加が困難だった人々が、支えあいながら積極的に参加・貢献できる社会。

共生社会の実現にはバリアフリーの整備(物理的なバリアフリー)や意識改革(心のバリアフリー)が課題

共生社会の実現のために「合理的配慮」という言葉があります。

合理的配慮とは

障害の有無に関係なく全ての人々が平等に社会生活を送れるようにするため、日常生活にある様々な社会的障壁(バリア)によって生まれた機会の不平等を正すためのもので、それらを取り除くための調整や変更のこと。

2006年に国連で採択された、障害者権利条約の条文で盛り込まれたこの考えは2016年の障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)においても取り入れられるようになり、認知が広まりました。

2024年4月に改正障害者差別解消法が施行され、民間事業者においても合理的配慮が法的義務化されました。

 

社会的障壁によって生まれた機会の不平等を正すためのもの

 

参考イラスト:日本ケアフィット共育機構より
https://www.carefit.org/social_model/gouriteki_hairyo/

「多様性」とは

多様性の定義

多様性(ダイバーシティ)の概念とは、単に人種や性別にとどまらず、多様な背景や経験、視点を包含する広範なものです。多様性とは異なる文化、信仰、人種、性別、性的指向、年齢、身体的能力、経済的背景など、人々が持つさまざまな側面を認識し、尊重する能力を指します。この多様性が社会や組織において豊かなアイデアや革新をもたらし、人と人とのつながりを深める力があります。

「区別」と「差別」という言葉

分ける」という言葉に「区別」と「差別」があります。

 

  • 「区別」
    ただ単に差や優劣を付けずに分けているだけの作業です。そして、「必要な区別」と「不要な区別」が世の中には存在します。
  • 「差別」
    元々この言葉にも善悪の意味を含んでおらず、ただ単に差(優劣)を付けるだけのことです。正当な理由が条件である場合は、「差別」することは認められます。

 

  • 「不当な差別」
    一般的に言われるような否定的な「差別」
  • 「正当な差別」
    正当な理由があることが条件。
    例えば「障害者」と「健常者」とは生活の質だったり、身体機能だったりに差があるものです。その差を解消するために配慮が必要なので、支援や手当がある。⇒「公平」

 

各種手帳の等級

身体障害者手帳の種別とは

 

身体障害者手帳は6級まで、療育手帳はAとBの2つ、精神障害者保健福祉手帳は3級までという等級となっており、手帳によって等級がバラバラであっても、サービス利用に不公平さが生まれないように公正に考えられており、等級にあったサービスを受けられるようになっています。

代表的なメリット

重度障害者医療

身体障害者手帳

  • 1級または2級
  • 3級かつ療育手帳B1

療育手帳

  • A(判定書が「重度」)

精神障害者保健福祉手帳

  • 1級(精神科病院への入院には適用外)

 

後期高齢者医療早期適用

身体障害者手帳

  • 1~3級
  • 音声又は言語機能障害は4級
  • 下肢機能障害は4級の一部

療育手帳

  • A

精神障害者保健福祉手帳

  • 1級又は2級

 

税金控除・免除

所得税

  • 所得額から一定額が控除

住民税

  • 所得額から一定額が控除

贈与税

  • 特別障害者に対する贈与を信託銀行等に信託する場合、6,000万円まで税金がかからない。

相続税

  • 年齢に応じた一定額が相続税額より控除

個人事業税

  • 重度の視覚障害者があんま、はり、きゅう等医業に類する事業を行なう場合、事業税が非課税になる

マル優制度

  • 銀行等の預貯金の利子等が一定限度額内で非課税になるもの。

代表的なメリット2

※手帳の種類や等級や収入によっては受けれる内容が変わります。

代表的なメリット3

軽自動車税(種別割)、軽自動車税(環境性能割)、自動車税(種別割)、自動車税(環境性能割)

該当する等級が障害名ごとに決められています。

 

携帯電話料金の割引

携帯電話の基本使用料等が割引になります。

 

市営住宅 優先階住宅

 

  1. 1階の住宅で、通路から住宅までの階段が比較的少ない住宅を肢体不自由(下肢・体幹)1~4級又は内部障害(心臓・腎臓・呼吸器機能)1級、視覚障害1・2級
  2. 80歳以上
  3. 持病等で階段の昇降に著しく支障を来し、その治療に長時間を要する方

本日のまとめ

  1. 3つの手帳があることを知っておくことは役に立つかも
  2. 手帳の申請をするかどうかは基本的に本人の意思によるもの
  3. 手帳を申請すると「障害者」の認定を受け、生活を営む上での障壁をできるだけなくすための制度や税控除等のいわゆるメリットがある
  4. 「障害者」や「高齢者」というカテゴリーも社会参加できる社会になりますように(^^)

 

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