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広報誌Web版『耳の聞こえと加齢について』

みなさん、こんにちは。今年も残すところあと2か月となりました。だいぶ日照時間が短くなりましたね。身を刺すような冷たい風を受けると、いよいよ冬の訪れを感じます。この時期は急 な温度の変化から体調を崩しやすくなりますので、体を冷やさないように一枚羽織るものを持ち 歩くなど、日ごろの体温管理にお気を付け下さい。今回は、『耳の聞こえと加齢について』について紹介していきます。

【はじめに】聴覚とは(どうやって音を聞こえているの?)

https://www.jibika.or.jp/owned/hwel/hearingloss/#mechanism

 

私たちの耳は3つの部分から成り立っています。

 

  • 耳の入り口から鼓膜までの部分を外耳
  • 蝸牛と三半規管などがある部分を内耳
  • 鼓膜から内耳までの部分を中耳

 

外耳と中耳は音を伝える役割を、内耳は音を感じて脳に伝える役割を果たしています。

耳から入った情報が脳に伝達されることで、音(高低、強弱)だけだったのが、

「誰かの声か?」「何の音か?」「心地よい音か、不快な音か?」また、「怒っている?」「優しい声?」

といった言葉に込められた感情など、より高度な分析がされ、初めて意味のある音として認識される。

例えば、虫の鳴き声などは耳から入ったときはただの音にですが、それが脳に伝わった時にはじめて虫が鳴いていると認識されます。

難聴とは?

外耳・中耳・内耳のいずれかに何らかの障害がおこることで、耳が聞こえにくい状態になる事を難聴と言います。

難聴とは、簡単にいうと耳が聞こえにくい状態を難聴といいます。

難聴にはいくつか種類があり、外耳、内耳に何かしらの問題がある伝音難聴、内耳、蝸牛神経、脳に原因のある感音難聴この2つが合併したのが混合難聴になります。

https://panasonic.jp/hochouki/deafness/check/

 

この表は縦のラインに音の強弱、横のラインに音の高低を表しており、各年代の耳の聞こえを表しています。

表を見てもわかるように年代が上がるほど、聞こえにくくなるのが分かると思います

難聴になりやすい原因とは?

大きく3つの原因があるとされています。

  1. 大きな音を聞き続ける事
  2. 動脈硬化(血管が硬くなったり詰まったりすることで、血液の流れが悪くなる状態)
  3. 加齢(加齢によって、内耳の中にある細胞や神経経路に劣化や障害が起こり、音を伝える働きが弱くなったり、脳が音を認知する能力が低下)

難聴の影響

  1. 必要な音が聞こえず、社会生活に影響を及ぼす
  2. 危険を察知する能力が低下する
  3. 家族や友人のコミュニケーションがうまくいかなくなる
  4. 自信がなくなる
  5. 認知症発症のリスクを大きくする
  6. 社会的に孤立し、うつ状態に陥ることもある

https://www.jibika.or.jp/owned/hwel/hearingloss/#mechanism

加齢性難聴(老人性難聴)とは?

  • 加齢に伴って進行する内耳に起因する難聴。内耳の蝸牛にある有毛細胞の数が年齢と共に減っていく。また、神経経路に障害が起きたり、脳の認知機能が低下していることも影響している可能性があり、様々な原因が複数組み合わされて発症すると考えられています。
  • 65歳から増加していき、65歳では25%~40%、75歳以上では40%~66%、85歳にいたっては80%の人が難聴となる
  • 特徴としては高い音から聞こえにくくなる
  • 老化による聴覚機能の低下なので、根本的な治療法はない、また徐々に進行するため本人が聴覚の衰えを自覚できない場合もある
  •  ⇒周囲の気づきや、早期からの対応が大切
  • 難聴は認知機能低下、または認知症のリスク増加とも関連している

認知症と難聴は大きな関係性が!?

難聴は認知症の重大な危険因子

認知症患者の役9%は難聴が原因で発症し、難聴があると認知症のリスクも約2倍になる

 

どうして難聴が認知症を引き起こしやすい?

耳からの情報=刺激を受けることで、脳は活発に働き活力を保っているが、難聴になると耳からの刺激が減る

相手の言っていることが分からない

人の声や周りの音が聞き取りにくい

人と会って話すことが億劫になる

コミュニケーション能力の低下等が引き起こされる

認知症に繋がっていく

難聴の予防

大きな音を聞かない(耳にやさしい生活を心掛ける)

  • 騒音など、大きな音が常時出ている場所を避ける
  • 騒音下で仕事をしている方は耳栓をする
  • 静かな場所で耳を休ませる時間を作る

 

動脈硬化に気を付ける(血管が硬くなったり、詰まったりすることで血液の流れが悪くなる状態)

  • 生活習慣病の管理、バランスのとれた食事
  • 適度な運動
  • 規則正しい睡眠

 

「聞こえ」を改善する

  • 耳鼻咽喉科で聞こえの検査(耳の病気の早期発見・早期治療)
  • 早期に補聴器で聞こえをサポート

補聴器について

まずは自分の聴力を確認する

補聴器は種類によって適応する程度が変わってきます。まずは今の聴力がどのくらいであるかをしっかり知っておくことが重要です

補聴器の種類

https://kikoe.ne.jp/choice/type.php

 

耳かけ型補聴器

≪メリット≫

  • 音の調整力が高い(音の方向をより正確にとらえることが可能)
  • 重度の難聴にも対応
  • ハウリングが発生しにくい

≪デメリット≫

  • やや目立つ
  • 眼鏡やマスク、帽子をかぶる人には邪魔になる
  • 汗水に弱い

 

耳あな型補聴器

≪メリット≫

  • 汗の影響を避け目立ちにくい(耳の穴の中に装着するため)
  • 外れにくい
  • 眼鏡やマスクなどの邪魔にならない
  • 自然な聞こえや方向感覚が得られる

≪デメリット≫

  • ハウリングがおきやすい
  • 難聴程度が重度の方は適応が難しい

 

ポケット型補聴器

≪メリット≫

  • 操作が簡単
  • 価格が安い

≪デメリット≫

  • 目立つ
  • コードが邪魔になる
  • アクティブに動く際には不向き

 

耳かけ型補聴器

≪メリット≫

  • 耳をふさがない

≪デメリット≫

  • 大きな音が出せない
  • 重度難聴には対応できない

 

おわりに

難聴の治療が遅れ神経が衰えてしまった場合、聴力の回復は期待できません。

耳が聞こえにくくなってしまったからと諦めず、元気で健康な生活を心がけ、補聴器等使用し「聞こえを改善」し「聞こえを意識」していくことで、聴覚トレーニングはもちろん認知症の予防にもつなげていきましょう!!

大牟田地域住民医療・介護情報共有拠点事務室OSKER

大牟田の医療・介護施設情報を掲載しています。どなたでも好きな写真を投稿できるギャラリーを製作いたしましたのでご紹介いたします。

次号は「お屠蘇を作ろう」をご紹介します。

 

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