南大牟田病院
ホーム > 広報誌Web版 > 広報誌Web版『嚥下(飲み込み)について』

広報誌Web版『嚥下(飲み込み)について』

 みなさんこんにちは。日差しも強く、気温も高い日が増えてきました。湿気も多くなる季節ですので、みなさん熱中症に気を付けて過ごされてください。今回は、『 嚥下(飲み込み)について 』について紹介していきます。

はじめに

嚥下(えんげ)って何?

食べ物や飲み物を「ごっくん」と飲み込み、食道から胃へと送り込む一連の動作を嚥下(えんげ)といいます。

嚥下の仕組み

から入った食べ物は咀嚼(そしゃく)されて唾液と混ざり、食塊(しょっかい)と呼ばれる飲み込みやすいかたまりになります。食塊を飲み込もうとする時、喉では一連のパターン化された動きが起こります。

食塊が咽頭(いんとう、のど)の奥に達すると、鼻の方に流れ込まないように軟口蓋(なんこうがい、上あごの奥にある軟らかい部分)が上がり、鼻腔と口腔の間を閉鎖します。舌根部(ぜっこんぶ、舌の付け根)は収縮して、いわゆる「のどぼとけ」である喉頭(こうとう、気管の入り口)が上がります。

さらに、喉頭のふたになる喉頭蓋(こうとうがい)という部分が喉頭をふさぎ、声帯のすき間である声門は閉じられます。

そして咽頭が収縮し、食道の入り口にある輪状咽頭筋がゆるみます。収縮によって咽頭内は圧力が高まった状態になっていて、咽頭と食道を仕切る役目をしていた輪状咽頭筋がゆるんだ瞬間に、食塊が勢いよく食道へと流れていくのです。

 

嚥下障害-意外と知らない|耳鼻咽喉科・頭頸部外科 (jibika.or.jp)

 

 

摂食嚥下のメカニズム

摂食嚥下とは食べ物を認識してから、口に取り込み、咀嚼し、咽頭・食道を経て胃へ送り込む一連の機能を指します。

摂食嚥下は、認知期(先行期)、準備期、口腔期、咽頭期、食道期の5つのステージにわかれており、このうち、口腔期から食道期までの、いわゆる「飲み込む」動作が嚥下に該当します。

5つのステージ

基礎知識 摂食嚥下のメカニズム 摂食嚥下のメカニズム | 日医工株式会社 (nichiiko.co.jp)

 

認知期

 

認知期(先行期)は、食べ物を認知し、口の中に取り込むまでの段階です。

食欲を感じ、唾液の分泌、消化管の運動を促すなどにつながる大切な段階と考えられています。


準備期

 

準備期は、咀嚼・食塊が形成される段階です。

口に取り込まれた食べ物は舌と歯を使って咀嚼され、更に、唾液と混合されることで嚥下しやすい形態、つまり食塊に整えられます。


口腔期

 

口腔期は、舌が口蓋(前歯の裏)にしっかり押し付けられ、食塊を後方の咽頭に送り込む段階です。

味覚や触覚、温痛覚などが保たれていることも円滑に口腔期の運動を行うためには重要です。


咽頭期

 

咽頭期は嚥下反射そのものであり、食べ物を咽頭から食道へ運ぶ段階です。

咽頭通過は約0.5秒以内と一瞬ですが、摂食嚥下のメカニズムの中でも「誤嚥」が起きる段階であり、まさに嚥下のポイントといえます。


食道期

 

食道期は、食道へ送り込まれた食塊が蠕動運動によって胃へ運ばれる段階です。

食道上部の上食道括約筋が咽頭への逆流を防ぎ、食道下部の下食道括約筋が胃食道逆流を防ぎます。

 

口や、のどの構造

上の図は、嚥下に働く口や、のどを横から見たところです。青で示したところは空気の通り道、黄色で示したところが飲食物の通り道です。

ほ乳類の中でヒトは、食物の通路(食道)と空気の通路(気道)が咽頭(いんとう)で交差しているため、嚥下の機構を難しくしています。

 

嚥下障害

これらの一連の動作ができなくなるのが嚥下障害です。また、本来通るべき食道ではなく、食べ物などが誤って隣の気管に入ることを「誤嚥(ごえん)」といいます。誤嚥するとむせたり、後述する「誤嚥性肺炎」の原因になったりしますから、喉頭にふたをし、声門を閉じて、気管を守っているのです。

 

嚥下動作はわずか0.5秒の間に起こります。私たちは寝ている間も自分の唾液を誤嚥しないよう、この動きを繰り返しています。1日に約500~1000回の嚥下をするといわれています。このようにパターン化された嚥下の動きを可能にしています。

 

嚥下障害が起こる原因の一つは加齢です。

加齢に伴って、喉頭が下がります。嚥下する時には喉頭が持ち上がり、喉頭の入り口がふさがれますが、年齢を重ねるにしたがって、安静時も嚥下の際に最も高く上がる位置(最大挙上位置)も下がってきます(図2)。喉頭を完全にふさぐために上がるべき位置は変わらないため、高齢者の方が喉頭をより高く持ち上げなければならず、誤嚥しやすくなります。

誤嚥予防!!

パタカラ体操

誤嚥を防ぐために口・舌の運動としてパタカラ体操やストレッチが行われます。パタカラ体操とは「パ」「タ」「カ」「ラ」の4文字を発音することで口・舌の筋肉を使い、食べたり飲み込んだりする機能を鍛える代表的な体操の一つです。

 

 

パ・タ・カ・ラはどの段階と関係しているか

パ・タ・カ・ラは食べる・飲み込むという運動の、どの段階と関係しているのでしょうか。「パ」は口を閉じる力なので主に準備期との関係が深いです。「タ」は押しつぶす力、「ラ」はまとめる(丸める)力なので口腔期。「カ」は飲み込むためにのどに送る力であり、咽頭期となります。

 

 

最後に

今回の、「嚥下(飲み込み)について」はいかがでしたでしょうか?これからどんどん暑い日が多くなってきます。水分補給をしっかりし、熱中症に気をつけて過ごされてくださいね。

 

 

⇒PDFのダウンロードはこちら

メニュー

公益財団法人 南大牟田病院