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広報誌Web版「季節の生薬」

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在宅情報マガジン てまり 令和3年 第6号

みなさんこんにちは。色とりどりの紫陽花が、湿っぽい梅雨の時期を明るく彩る季節になりました。色だけでなく、花の形も多様な紫陽花を見ていると、梅雨も悪くないなと感じる今日この頃です。(でも、、、晴れの方が好きです 笑)皆さんは何色の紫陽花がお好きですか? 今回は、『 季節の生薬 』について紹介していきます。

◎生薬について

生薬とは、自然に存在する薬の効き目を持つ物から薬効成分を精製することなく、体質の改善を目的として用いる薬の総称を言います。生薬の大半は植物由来のものですが、動物や鉱物などに由来する物もあり、これら生薬を選別、調合したものを漢方薬といいます。

今回は、植物由来の生薬にポイントを当ててご紹介していきます。

身近な生薬

◎桜皮(オウヒ)薬効:皮膚のトラブルや咳止めなどに用いる

 サクラの樹皮を乾燥させたもの。
 現代医療でもオウヒエキスは咳止めや痰切りとして使われている。

◎烏梅(ウバイ)薬効:下痢止め、解熱、咳止め、去痰として用いる

 青梅を燻製にしたもの。

◎杏仁(キョウニン)薬効:咳止め、痰切りとして用いる

 乾燥させたアンズの種を割って仁を取り出し、さらに乾燥させたもの。
 現代医療でも、キョウニン水は咳止め、痰切として使われている。

◎桃仁(トウニン)薬効:咳止め、産後のむくみ、月経不順などに用いる

乾燥させた桃の種を割って仁を取り出し、さらに乾燥させたもの。

節句と生薬

3月~上巳の節句(桃の節句)~
元々は春を寿(ことほ)ぎ、無病息災を願う行事でした。紙や薬草で作った「ひとがた」で体を撫で祓い、穢れを移した「ひとがた」を川や海に流していました。
桃の節句のひし餅にも生薬が使われてます。

桃色:クチナシ(山梔子 サンシン)
薬効:消炎、清熱、精神安定作用がある

 

白色:ヒシの実(菱実 リョウジツ)
薬効:消化不良、夏バテ、下痢などに用いる

 

緑色:ヨモギ(艾葉 ガイヨウ)
薬効:止血の効果がある

5月~端午の節句(菖蒲の節句)~

季節の変わり目である端午の日に、病気や災厄を避けるため菖蒲を飾り(菖蒲湯など)、薬草を配り、ちまきや柏餅を食べます。

 

菖蒲根(ショウブコン):
地上部が枯れて、根茎のひげ根を除いて
水洗いし日干ししたもの
薬効:胃薬や腹痛、下痢止めなどに用いる

 

さて!ここで皆さんに質問です!!
5月の節句と聞いて思い出すのはどちらですか??

このように、ちまきと柏餅に意見が分かれるのは、東西文化の違いが影響しています。
西→中国から端午の節句とちまきが伝承され定着した
東→中国から端午の節句が伝承された後、日本で端午の節句が五節句の一つになり縁起の良い柏餅が主流となった

7月~七夕の節句(笹竹の節句)~

 技芸の上達や無病息災を願い、素麵を食べます。
「・・・なんで素麺食べるの?」と思ったあなた!
中国では、七夕にマラリア除けのまじないとして索餅(さくべい)を食べていたといわれています。索餅は小麦と米の粉を練って細く紐状にしたものを2本より合わせたお菓子です。これが日本に伝わり、形を変え、現在の素麺となっています。

9月~重陽の節句(菊の節句)~

『9』が重なる大変おめでたい日。菊のエッセンスを含んだ水を飲むと健康で長寿になれると云う重陽節(重陽の節句)における菊の薬効と伝説は、海を渡って中国から日本にもたらされ定着しました。栗ご飯や茄子料理を食べたり、菊酒を飲むなどして、無病息災や長寿を願います。

 

菊花(キクカ):
花を乾燥させて使う
薬効:眼疾患、精神疾患を改善
する漢方に用いることもある

 

栗葉(リツヨウ):
葉を乾燥させ、その煎汁を使う
薬効:かぶれやあせもに外用する

1月~人日の節句(七草の節句)~

1年の無病息災を願って、また、正月の祝膳や祝酒で弱った胃を休める為、七草粥を食べます。

 

 

  1.  せり(セリ)薬効:高血圧や動脈硬化効果の抑制
  2.  なずな(ナズナ)薬効:高血圧、解熱、便秘、利尿、止血作用
  3.  ごぎょう(ハハコグサ)薬効:咳止め、痰切り、喉の炎症、むくみ
  4.  はこべら(コハコベ)薬効:利尿作用、止血作用、鎮痛作用
  5.  ほとけのざ(コオニタビラコ)薬効:健胃・整腸作用、高血圧予防
  6.  すずな(カブ)薬効:便秘、胃潰瘍、風邪、骨粗鬆症、がん予防
  7.  すずしろ(ダイコン)薬効:消化不良、二日酔い、冷え性、便秘

 

最後に

いかがでしたか?私は今回この話を聞いて、「生薬ってこんなに身近なところにあるのか!」と驚かされました。また、何気なく過ごしていた節句にも、たくさんの生薬が関係していて、先人の人たちが込めた思いを感じることができました。

生薬は副作用が少なく、自分の状態を正すことができます。身近な生薬を使って、無理なく健康を維持していきましょう!

 

《クイズ》

Q1 : 生薬は植物、動物、鉱物などを由来としている

Q2 : 桃の節句のひし餅には生薬が使われている

Q3 : 菖蒲根は胃薬や下痢止めなどに用いられる

Q4 : 重陽の節句はもともと日本にあった節句だ

Q5 : すずなの薬効には骨粗鬆症も含まれる

 

大牟田地域住民医療・介護情報共有拠点事務室OSKER

大牟田の医療・介護施設情報を掲載しています。どなたでも好きな写真を投稿できる
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次号は「 家でできるストレッチと運動 」をご紹介します。

 

<回答> Q1. 〇 Q2. 〇 Q3. 〇 Q4. ×(中国から伝承) Q5 . 〇

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