皆さんこんにちは。菜の花や梅が咲き始め、一気に春の装いとなってきました。卒業や、新生活のスタートなど人生の節目となるこの季節に、たくさんの花々が咲いている様子を見ると、自然からも祝福を受けているように感じますね。皆さんは春といえば何を思い浮かべますか?過日、『 放射線の基礎知識 』の健康教室が開かれたので紹介していきます。
『放射線』と聞くと、医療現場や原子力発電所など思い浮かべる方が多いと思います。また、『被ばく』について不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、私たちが知らないだけで、放射線は色んな所で私たちの生活を支えてくれているんですよ。
今回は、生活習慣と合わせた内容になっていますので、放射線と被ばくについて正しい知識を一緒に学んでいきましょう。
放射線は、『いろいろな物をすり抜ける』『いろいろな物の性質や状態を変える』といった性質を持っていて、人の目には見えない小さな粒や光の仲間のことを言います。
放射線にはいくつか種類があり用途によって使い分けられており、それぞれ、通り抜けることができるものとできないものがあります。
放射線に似た言葉として、放射性物質、放射能というものがあります。どのような違いがあるのか、下のイラストを元に説明していきたいと思います。
◆放射性物質…『放射線を出す物』のことをいいます。
放射線と放射性物質の違いは上のイラストのように、
「ライト」=「放射性物質」
「ライトから出る光」=「放射線」
に置き換えるとわかりやすいです。
ライトから離れると、体に当たる光が弱くなっていくのと同じように、放射性物質から離れると、体が浴びる放射線の量は減っていきます。
放射線の場合、放射性物質からの距離が2倍になると、体に浴びる放射線の量は1/4に減ります。
◆放射能…『放射性物質が放射線を出す力』のことをいいます。
「ライトが光を出す力」=「放射能」
放射能は時間が経つとだんだん弱くなっていき、放射線の量も少なくなっていきます。
皆さんご存じエックス線を用いたレントゲン検査は、エックス線が体や物を通り抜けたときにできる「かげ」を写真などに写しだすことで、体の中の様子を見たり、荷物を開けずに中身をチェックすることができます。
また、機械の部品などが壊れていないか、傷がついていないかといったことを確認する検査にも、放射線は使われています。
「がん」の部分に放射線を当てる放射線治療というものがあります。この方法なら、他の部位を傷つけることなく「がん」だけを治療することができます。
他にも、病院で使用されている注射器などの道具の消毒にも放射線は使われています。
放射線を当てることで、病気や寒さに強いお米や果物を作ったり、花の色や形など、今までにない新しい植物を作ることができます。また、害虫を退治することにも放射線は利用されています。
他にもゴムやプラスチックに放射線を当てることで、熱や水、衝撃に強いゴム(タイヤなど)やプラスチックを作ることができます。
私たち人間は、いつも弱い放射線に囲まれて生きています。
例えば・・・
これらのような放射線を自然放射線といいます。少量の放射線であれば、人体に問題が起こる心配はないとされていますが、一度に多量の放射線を受けると、人体を作っている細胞が壊れ様々な影響がでてきます。
放射線の量を表す単位『mSv(ミリシーベルト)』を使って、私たちの身の回りにある例を参考に、放射線の量を見てみましょう。
※人体に影響が出始める放射線被ばく量は100mSvと言われています。
要因の例 | 放射線量(mSv) |
---|---|
日本で浴びる自然放射線量(年間平均) | 2.1mSv |
胸部レントゲン検査 | 0.06mSv |
胃部バリウム検査 | 5mSv |
CT検査(各部位で異なる) | 5~30mSv |
このように数値を比べてみると、レントゲン検査やCT検査などで被ばくする線量は、人体に影響が出始める放射線被ばく量(100mSv)と比較すると、極めて小さいということがわかります。
人体に影響が出始める放射線被ばく量(100mSv)より低い線量の被ばくでは、がん死亡のリスクが増加することは明らかになってはいませんが、それを超えるとがんの相対リスクは、徐々に増えることがわかっています。
下の図は、放射能と生活習慣のがんになるリスクを対比させたものです。
皆さんここで思い出してください。胸のレントゲン検査の1回あたりの放射線被ばく量は0.06mSvでしたね。
つ・ま・り!
野菜不足の場合 → 胸のレントゲン撮影 1,666回分!
運動不足の場合 → 胸のレントゲン撮影 8,333回分!!
喫煙の場合 → 胸のレントゲン撮影16,666回分!!!
と、いう事になります。
これを見ると、いかにレントゲンによる被ばくが少ないか、という事がわかります。
全く問題がないとは言い切れませんが、被ばくを心配するあまり必要な検査を受けないのは得策ではありません。なぜなら、放射線による被ばくの影響よりも、検査によって得られる情報の方が遥かに大きいからです。今回のてまりを読んでいただき、みなさんが安心して検査を受けて下さるきっかけになれば幸いです。
最後に〇×問題を作りましたので、みなさん是非挑戦してみてください!
Q1: 放射線は一種類しかない
Q2: 植物の品種改良にも放射線は利用されている
Q3: 空気や食べ物にも放射性物質は含まれている
Q4: 人体に影響が出始める放射線被ばく量は50mSvである
Q5: 野菜不足よりも1回の胸部レントゲン検査の方が、がんになるリスクは低い
今回は、お部屋でも桜を楽しめるように『桜のつるし飾り』を作りました🌸
本物の桜が咲くまでもう少し。待ち遠しいですね☺
大牟田の医療・介護施設情報を掲載しています。どなたでも好きな写真を投稿できる
ギャラリーを製作いたしましたのでご紹介いたします。
次号は「 車いすを体験してみよう 」をご紹介します。
※今回の健康教室は手指消毒や十分な換気等感染防止対策の下行いました。
<回答> Q1 × Q2 〇 Q3 〇 Q4 ×(100mSv) Q5 〇